トッケビは三国時代から文献にお話が出ているほど昔から韓国人に親しまれてきましたそうです。 善良な人々に施しを与えたり、悪い人を懲らしめたりすることもありますし、知恵が足りずに人間に騙されることもあります。
たくさんのお話の中の人々は、随分警戒し怖がっている場面が多いようです。
さて、この絵本は『パパといっしょに』の ハン・ビョンホさんの作品です。
シムシミというの名のトッケビは、山奥に暮らし友だちもなく、楽しい遊びもないので、いつも寂しそうにしていました。
ある日遠くの村までおりてみることに…。
村人はおびえ逃げだし、相手をしてくれるものがなく、子犬に出会って…。
トッケビのキャラクターが、憎めないひょうきんな顔つきです。
背景の昔の韓国の山々、民家の様子も 素敵です。
一生懸命、遊ぼうと頭をひねるシムシミが、“こわいトッケビごっこ”を思いつく場面は、笑えます。
つながれた、家畜たちのうなだれた様子に息子が大笑い。
終盤でのパニック状態のシムシミの表情は、ちょっと気の毒になりました。
ラストのページの背中は、本当に寂しそうです。
見返しの絵の意味が、読後『なるほど』と思わせられました。