無類のかえるキャラクター好きの私ですが、この絵本にはおどろかされました。
森の奥深くのとんでもなくおそろしいところに一人で住んでいるおばあさん。そのおばあさんの味方は、一匹の小さなかえるだけ。家を囲む柵の扉に「かえる ごようじん」というふだをつけておきました。
実は、このかえる、次々とやってくる魔物を食べてしまうのです。
「ところが、なんてことでしょう。このかえるときたら、」でページをめくると、左側に大きな文字で「がぶり ごぶり」、右側のページには、なんと魔物を口にくわえたかえるの姿が……。口からはみ出しているのが、手だったり、足だったり、しっぽだったり、魔物たちが着ていたり持っていた物だったりで、とてもリアルでグロテスクです。ちょっと怖いです。かえる好きの私が言うのですから間違いありません。
さて、ここで「う〜ん」とうなってしまうのが、これを子どもたちに見せて良いものかどうか、ということです。
でも「このかえるときたら、」と言いながら、ページをめくり、「がぶり ごぶり」と大きな声で言っている自分を想像してみると、周りには、「うぉー」とか「すげぇ」とか「キャー」とか言いながら騒いでいる子どもたちの姿が見えてきます。
うん、きっと大丈夫。それに、これがかえるの真の姿ですから仕方ありません。
色あざやかではっきりしており、遠目もききそうです。読み聞かせにも良いと思いますが、やはり聞き手とその場の雰囲気を選んだ方が良いでしょう。
冒頭に「すべての食用ガエルに。」と奉げられています。作者はかなりの皮肉屋みたいですね。