『ちびくろさんぼ』のアレンジ版です。基本的な展開は同じですが、主人公(サンボではなくサム)がすてきな服を手に入れる過程などは随分異なります。
絵を見てもサムは明らかにアフリカ系の黒人の男の子なのですが、前書きを読んでみると、この絵本を、「黒人」を扱ったものと断定し、その理解のもとに描き直しているようでした。
でも、この話はインドが舞台で、それでこそ、トラやバター(ギー)が意味を持ってくるのだと思います。色が黒い=黒人=黒人差別という捉え方をして、作者が前書きに書いているように、「黒人の子供が知恵をもってトラたちを負かした」と解釈しなおすのは、こじつけに他ならないように思いました。
息子はトラに会うまでの話が長過ぎて最後まで聞いていられませんでした。ヘレン・バナーマンの絵の『ちびくろさんぼのおはなし』が一番好みです。