赤いハンカチにやられました。
表紙絵も作品全体も、ブラウン系の色調ですが、見事に赤いハンカチがお話の灯りとなっています。
おじいちゃんを失ったヨーストの悲しみの深さは、おじいちゃんと過ごした楽しい時間の分大きかったのだと思います。
「良く来た良く来たわが孫よ!この世で出会えて、嬉しいよ!」っていう、おじいちゃんのヨーストを可愛がり夢中になって遊んでいる様子から解ります。
ただただ愛され受け入れられるこの経験は、ヨーストを「人」を信じ愛する大人にしてくれることでしょう。
ドイツ語圏では、約束を忘れないようにとハンカチに結び目を作るという話を以前にも聞きかじっていました。
このヨーストの結んだハンカチの結び目は、おじいちゃんからもらった「愛」そのものだと思います。
人生の中で、たくさんのお別れをこれからも経験するヨーストでしょうが、おじいちゃんとのこのお別れは、心の中にもハンカチの結び目を結んだ大切なものとなったことでしょう。