岸田衿子の言葉のセンスが光っている本です。「ねむいなら ねむいといってくれ。つまらないから おきてくれ」 「きらいなら きらいといってくれ。すきなら はやく たべてくれ」 子どもも、くすくすっと笑います。中谷千代子の版画も、とてもすてきです。絵を見ているだけで、子どもがどんどん想像力を膨らませて、物語を創り上げていきます。「うわっ たべちゃった」 大きな口をあけて、かばくんがキャベツを丸ごと食べてしまうページでは、娘もカメさんのように、ぐいっと首を伸ばして、かばくんの口の中をのぞきこみます。そして、毎回、かばくんの歯を数えます!ちいさいかばくんが食べるところは描かれていませんが、「あかちゃんは、ちいさいから、キャベツをはんぶんにきって、たべるんだよ」と、私に教えてくれます。動物園に夜が来て、かばくんと、ちびのかばくんが、いっしょに眠っています。ライオンのつがいも隣にいます。「ライオンさんのあかちゃんは、まだうまれてないんだね。おかあさんが、はやくあかちゃんにあいたいな、ってまってるんだよ。」と、ライオンのストーリーもそこから始まります。この本を読んだあとに、動物園に行ったら、きっと動物たちを見る目も変わるんじゃないかな、と思います。娘が幼い頃に、この絵本に出会えたことを、とても幸運に思っています。