狂言絵本シリーズは、親子で楽しんでいます。
さてこの作品は、「墨塗(すみぬり)」という演目をベースにした絵本です。
私は、この演目の狂言を鑑賞したことがあります。
演技の前に、解説をして頂いたのでお話の筋を理解し楽しめました。
女性のしたたかさを暴くべく太郎冠者が機転を利かせ、愚かな地方大名の主人の窮地(自ら蒔いた種ですが)を救うお話です。
地方から都へ訴え事をしに来て滞在が長引いていた大名が、得心のお裁きに喜び国許へ帰ることになるのですが、なんと都で出会った女性(複数いたようです)の中でもそのまま捨て置き帰るのが気がかりな者が一名。
太郎冠者の言葉を借りれば、ことのほか恨み深い女性のようで、挨拶もせず国許へ帰ってしまったら大変な事になりそうだという事で、二人は女性の家へ・・・。
当時は招婿婚なかでも妻訪婚のスタイルであったのか、この大名のようにあちらこちらに妻(現代の妻たちはこの呼び名に不快感を感じますよね)がいたようです。
さて、この女の嘘泣きを見破った太郎冠者が、大名も興ざめし女も本性を露見され辱めを受ける妙案を思いつきます。
ここからが、小さな読者さんも絵を見ながら大笑いの展開です。
げに恐ろしきは、女性の涙。
殿方は、“真の涙”をどれだけ見極められている事か(笑)。
このお話の閉じ方からして、この女性への未練など微塵も無く大名は帰れた事でしょうね。
しかし、また国許でもまたこのような女性に翻弄されるのでは?などと意地悪な憶測をしてしまいました。
息子には、もう少しお兄さんになってからもう一度薦めてみましょうかね。