戦争の犠牲になったのは、人間だけではありませんでした。
上野動物園にいたたくさんの動物たちも、その犠牲となったのです。
人気者だった象のトンキー達も、その中に入っていました。
一匹、また一匹と大切にかわいがってきた動物を殺さなければならなかった飼育係のおじさん達の絶望と、悲しみがとてもよく伝わってきます。
また、なぜ命を守りぬくことができなかったのか、戦争という中での異常な時代背景にも触れられています。
餌を与えられなくなったトンキーが、衰えた体に鞭打って、芸当をしてみせる姿には、本当に胸をうたれ、泣けてしまいます。
絵本を読んで娘は、
「かわいそう。・・・誰が、戦争なんか始めるの?」
と、言いました。
とても悲しいお話ですが、戦争の悲惨さ、命の尊さ、そして平和の有難さを私たちの子供たちに語り継ぐためには、こういった絵本は、折にふれて読んでゆくべきだと考えています。