あいさつが好きだ。
朝の「おはようございます」も好きだし、「いってらっしょい」と送りだす言葉もいい。
名前も知らないが、毎朝会う人とあいさつを交わせるのも、なんだかうれしい。
若い頃はあいさつを返さない人がいると、「なんだ、あいつは!」なんてむくれていたが、最近はちょっと違う。
「かわいそうにな、あいさつをすれば楽しいのに。楽しくなるのに」と、思いやったりする。
あいさつが苦手な人はいる。
きっと、あいさつのすばらしい効用に気がついていないのだろう。
そんな人に、この絵本を読んでもらいたい。
この絵本は漫画家ちばてつやさんが2008年に初めて描いたものです。
ちばさんにはお孫さんが3人いますが、カナダで暮らしていたようです。
遠い国で暮らすお孫さんにあてて、その国の人たちだけではなく、動物や鳥や虫たちとちゃんとあいさつができて、明るく楽しく生きてれることを願って、絵本を描いたと「あとがき」に記されています。
この絵本ではあいさつの極意のようなものもちゃんと書かれています。
それが、「目を見て」ということ。
あいさつは、相手の方とのコミュニケーションのはじまり。その大切なはじまりは、やっぱりしっかり目を見ることです。
ちばさんの絵のタッチはいつも温かい。
元気な少年もやさしそうな女の先生も、かわいい女の子も、ちばさんの漫画で見かけたことのあるような人たちばかり。
ちばさんの漫画にどれだけ癒されてきたか、しみじみ味わえる絵本でもあります。