あかちゃんを見に来た人は、皆そろって、お姉ちゃんになった女の子に、「あなたって ほんとに しあわせね!」と声をかけます。でも、女の子は、そう言われても純粋にしあわせだなんて思えない、それがお姉ちゃんになった複雑な心境です。
我が家も、娘が生まれてから、息子と娘を連れてでかけると、よく声をかけられます。そのほとんどが、赤ちゃんである娘に対してで、そばにいる息子は自分にも注目してといわんばかりにアピールすることもあれば、居心地悪そうな顔をしているときもあり、息子の複雑な心境を目の当たりにして、なんだか不憫に思えることもありました。
でも、一度だけ、見知らぬ年配のご夫婦が、真っ先に息子に声をかけてくれたことがありました。「こんなしっかりしたおにいちゃんがいて、いいねぇ。」と、まさにこの絵本の最後にでてくる「このあかちゃんって ほんとに しあわせね!」と同じで、息子がなんだかちょっと誇らしげな顔をしていたのが忘れられません。
この絵本は、女の子がお姉ちゃんになって、やきもちや寂しさを乗り越えながら自信をつけていく内容ですが、同時に、言葉かけの大切さも教えてくれたような気がします。