「しばてん」という妖怪のことを、この絵本で初めて知りました。
河童に似た相撲好きで力持ちの妖怪、しばてん。そのしばてんの生まれ変わりではと噂される太郎。
太郎は赤ちゃんのときに村のはずれに捨てられていて、村人たちに育てられてきましたが、相撲好きで力持ちの太郎のことを、村の人たちは「しばてんの生まれ変わりだ」と気味悪がり始め、村を追い出してしまいます。その後日照りが続き、村人たちは飢えに苦しんでいました。そこへ太郎が戻ってきて村人を救いますが、その後太郎はまたも村人たちに裏切られてしまいます。
一度は自分を厄介払いした村人たちを、太郎は助けたのに…
太郎は最後どうなっちゃったんだろう…
読後いろんな感情が自分のなかをぐるぐるまわって、無になっている自分がいました。
村人たちが毎年秋祭りの度に太郎を思い出すところがちょっと救われます。
田島征三さんの絵は力強く、ちょっと不気味でもありますが、飢えていた村人たちが腹一杯食べる場面は幸せに満ちています。