これは「ほんのくにに すんでいる、ほんのこども」のお話。
まだ子どもですから、中身はまっ白。
将来どんな本になろうか、迷っている最中です。
お父さんとお母さんは図書館にいます。お母さんは「ほんちゃん」に「りっぱなずかんに なりなさい」と薦めているようです。
お兄さんたちは「りっぱなずかん」になって、本が好きな子どもの本棚に住んでいます。
「ほんちゃん」の希望は、音がなったり画面が変わったりする「かっこいいほん」。
でも、お母さんはそんな「ほんちゃん」のことを叱ります。
さて、「ほんちゃん」はどんな本になるのかな。
この絵本の中には、さまざまな本が出てきます。
例えば、赤ちゃん用の絵本。よだれのあとや齧られたあとがいっぱいついている絵本。
「ほんちゃん」はそんな絵本を見て大変だなと思うけど、「それが赤ちゃんに気に入られたしるし」と喜んでいます。
年をとっているのは、りっぱな辞典じいさん。ほとんど使われることはないけど、それでも調べ物をされたりするとうれしい。
有名な物語の本は親子三代にわたって読み継がれてきたことが自慢。
ある日、やってきた古い絵本は、昔人間のお母さんが読んだことのある絵本だって。今、お母さんの小さな娘さんが喜んで読んでいる。
本は誰ともでもつながる友だち。
小さい頃のおもちゃがそうだったように、本も子どもの頃からずっと一緒だった友だちなんだ。
たぶん、誰もが思い当たるはず、そんな友だちの顔が。
この絵本を読んだ子どもたちが、本当の友だちとなる本を見つけられたらいいなあ。
もちろん、この絵本もその候補。
「ほんちゃん」は本屋さんの棚の中でそんな出会いを待っています。
けれど、「ほんちゃん」の夢だった、音がなったり画面が変わったりする「かっこいいほん」は、今や電子書籍になって実現しましたね。
もしかしたら、「ほんちゃん」は電子書籍になりたかったのでしょうか。
いいえ、お父さんやお母さん、お兄さんたちのように人間のやさしい手でページをめくってもらえる、紙の本だったのではないでしょうか。
だって、やっぱり友だちって、あったかいものだから。