「おとうさんのちず」というタイトル。
自伝的な絵本だけにとても気になりました。
そして、原題「How I Learned Geography(僕はどうして地理を学んだか)」を見て分判りました。
お父さんの買ってきてくれた地図が、シュルヴィッツさんの原点だったのです。
戦争で家を追われカザフスタンで生活していたとき、食べるものを買いに出かけたおとうさんが、食べ物の代わりに買ってきた地図。
とてもすごいと思いました。
自分だったらどうするだろう。
地図を買って帰ったら、家族はどうするだろう。
シュルヴィッツさんも、そのまま受け入れることはなかったけど、地図を見ているうちに思いが変わっていったのでした。
でも、これだけの想像力、世界への関心。これは、おとうさんの力だと思います。
お父さんは地図を買ってきただけではなく、いろんなことを教えてくれたのです。
少年時代の思い出が、今の自分を支えているのはとても素晴らしいことです。
絵本の最後に書かれている、著者の自分史。
10歳の時に描いたという地図。これは、10歳にしてそう簡単に書けるものではなく、しっかりと自分の中に地図ができているということです。
13歳の時に書いたという、トルキスタンの中央市場を思い出して書いたという絵。これは、絵本の中にしっかり組み込まれています。しかも、「とこ屋」「きっさ店」のロシア語もしっかり刻まれて。
自分って、少年時代にしっかりと培われているのですね。