理論社の創作児童文学50周年という節目にあたって立ち上げた、特に小学校中学年を対象とした児童書を送り出していこうという新しいプロジェクト「おはなしルネッサンス」の第一冊目が本書『ピピンとトムトム 怪盗ダンダンの秘密』です。
たかどのほうこさんの作品は、どの作品もなんとなく、異国だったり、過去を意識させられたりする物語が多いのですが、この物語はそのどちらもあてはまる、どこかの国の、いつかに起こった出来事です。
この本を手に取った子どもたちは、ちょっとだけ構図がゆがんだ感じで、筆太に童話的な色彩で描かれた、石畳の街並みと二人の少年の表紙を見ただけで、「おもしろそうな本だぞ」と感じるに違いありません。
そして、本のタイトルが書かれた扉、目次とページをめくっていくと、そこには少年二人が住んでいるであろう町を俯瞰した見開きのカラーの地図が現れます。朱色の屋根の家々や、白い石畳、緑が豊かな街が描かれたこの地図に、子どもたちは早く先を読みたくなるに違いありません。あるいは、この地図のなかに表紙の二人の少年を発見する子どもたちもいることでしょう。物語を読み進んでいけば、二人がどこに住んでいるのか、どこで事件が起こっているのか、ちゃんとわかるようになっています。
んっ?事件?
そうなんです。この物語はピピンとトムトムが、元気なおばあさんたちと一緒に、ある事件を探っていくお話なんです。
さあ、早く読み始めて、一緒に事件を解決しましょう。