この絵本を開くと、江戸時代の芝居小屋へタイムスリップします。
狂言作者の見習いとして鶴屋南北に入門した千松くんを探しながら、舞台裏、楽屋、客席などを見て回ることができます。
現代の歌舞伎座の印象と、比べながら見ました。
非日常の絢爛豪華な世界であることは、昔も今も変わりありません。
今ほど多様な娯楽がなかった江戸時代、大衆が芝居見物を思いっきり楽んでいたということがよくわかります。
電気もなかったというのに、とんでもない仕掛けで観客を沸かせていたんですね。
このエンターテイメントが伝統として、現在の歌舞伎興行にうけつがれていることに、感慨深いものがあります。
絵が緻密で、描かれている一人一人の人物像が思い浮かんできます。
今まで一ノ関圭さんを知りませんでしたが、他の作品にも興味がわきました。
最後の「絵の注」は大変勉強になりますが、字が小さくてなかなか読み進めず、苦労しています。
本編の絵とともに、時間をかけて読みたいと思います。