1995年のコールデコット賞受賞作品で、アメリカにおいて多くの児童書関係の賞を受賞しています。
お話は、1992年の4月29日にロサンゼルスで実際に起きた暴動を描いたもの。
飲酒運転した黒人が捕まったときに、白人の警察官から袋叩きにされた報道がきっかけです。
その警察官の裁判の判決日が4月29日だったのですが、陪審員12名の内10名が白人で、有罪の予想に反し無罪になったことからロスアンゼルスの黒人達が暴動を起こしたのです。
今、日本においても裁判員制度が発足していますが、アメリカではこんな事件さえも起きていることを知ると、深く考えさせられるものがあります。
暴動の模様が克明に描かれており、また、力強いディヴィッド・ディアスの絵が、その雰囲気を臨場感あるものに昇華させています。
人種のるつぼと言われるアメリカ社会に根ざす問題があって、非常に社会的な意味あいを持つ作品となっており、エンディングに作者のメッセージを感じずにはいられませんでした。
「きょうまで、この子たちは、なかがわるいもんだと ばっかり おもってい たけど」
「でも いまは わかりあえたんだね」
歴史・文化・言葉が違っても、お互いがわかりあえば、仲良くなれて、争うこともなくなるということを考えさせられました。
小学生高学年ぐらいでないと理解するのが難しいかも知れません。