「おはなしのたからばこ」というシリーズの中の13冊目の作品のようです。
私が記憶していたお話では、「王様の耳はロバの耳」だったのですが、
この絵本では、「王様」ではなく「王子さま」なんですね。
優しく、賢く、人の言葉をしっかり聞ける王子さま。
しかし、王子さまの耳がロバの耳であったために、みんなは外見にばかり
気を取られて、なかなか王子さま自身を見てはくれないのです。
お産に立ち会った不思議な力を持つばあさま達に贈られた言葉通りに
産まれた子が育つ、という設定、なかなかおもしろいです。
やがて、年頃に成長した王子さま。結婚相手を探すために床屋を頼み、
散髪するのですが・・・
この後の流れは、子どもの頃に読んだ記憶通りだったのですが、王子さまが
やってくる床屋やお見合い相手に耳を見せるたびに心に傷を負っていく姿が、
なんともやるせない気持ちになりました。
このお話を読むのは子どもの頃以来だったのですが、絵のタッチや文の
構成が大人向けに作られた感じの絵本だったので、子どもの頃読んだ
印象とはまた違った印象で読むことが出来、知っているお話ではありましたが、
ついつい夢中になって読んでしまいました。
王子さまが、結婚相手となる西の床屋の娘と出会うシーンは、とっても
感動的です。
はたこうしろうさんの絵も、とてもストーリーにあっていて良かったです。