海軍特攻隊って聞いて何人の子どもたちが判るのだろうか? かくいう自分も戦後世代。
だけど、戦争と平和ということをいやというほど教えられてきた世代でもある。
無邪気に見送った飛行機が、死ぬために飛んでいるなんて誰も思わないだろう。
戦争って、信じられないことが本当に当たり前になってしまうんだ。
自爆テロ、ビルに乗客とともに突っ込んだジェット機もあったっけ。
そして、信じられないことが一つ一つ過去形になり、忘れ去られていく。
悲しいこと、嫌なこと、不幸なことはあまり思い出したくはない。
けど、だからこそ、この絵本は忘れてはいけない一冊だと感じた。
航空隊に届けたすみれ。
そのすみれを受け取って、これから死んでいく特攻隊員は昔の遊びを思い出し、花相撲で布団いっぱいにすみれを散らして、それで眠ったんだって。
そんな人たちが、イヤでも受け入れなければいけなかった死。
しかも、「国を守るためって」思いこんで死んでいった。
それが戦争なんだよ。
人の命が散った後、小島に咲いたすみれの群集。
たまりません。
松永禎郎さんの絵も、話にマッチしていてとても良い本です。