南の海の小さな無人島にいちめんのすみれの花がさいている。
それは忘れてはいけない戦争の悲惨さ、平和の尊さ、命の大切さを訴えるものだった。
太平洋戦争当時の九州の特攻隊の若者たちと小学生のすみれの花を
介したやりとりが描かれています。
死と正面から向き合った若者が最後の夜に毛布の中をすみれの花だらけにして
眠ったというくだりでは思わず涙があふれました。
なぜ未来ある若者が出撃せねばならなかったのか?
どんなことを思いながら飛び立っていったのだろうか?
胸がしめつけられ、うまく読み聞かせることができませんでした。
またちょうど昨秋、鹿児島へ旅行に行き、足を伸ばして知覧の特攻記念館を
訪ねたばかりでした。
もし自分の子が出撃することになったらと思うとその時も涙がとまりませんでした。
私の拙い読みを聞きながら息子は思い出したように
「この間、特攻隊のところ行ったよね」と言い、神妙な面持ちになりました。
まだあまり理解できないだろうと思っていたのですが、
子供は子供なりに何かを感じ受け止めていたんだと気がつきました。
子供が小さいうちは、まだ戦争については難しいかなと思いがちですが、
繰り返し繰り返し、折にふれ話し、伝えることが大事なのだと思いました。
美しくも悲しく戦争を伝えるこの作品はぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
戦争とはなんだったのかを静かに問い続ける作品です。