絵はほのぼのと可愛らしく、本の雰囲気はすきなのですが、肝心の主人公、わにのキャラクターが魅力的ではありません。
ずーっと歯痛に苦しんでいるので、周りに対してイライラしているし、何より問題なのはどうして歯医者に行きたくないか、というわにの気持ちが全然読み手に伝わってこないのです。
P16で「じぶんがどんなにはいしゃさんをこわがっているか、えんちょうさんにしられたくありませんでした」とあるのにもかかわらず、
P42では「はいしゃさんをこわがっているとおもったからさ」と少年に言われて「そうじゃないんだけど、ただ、ぼくはいらいらするとー(原文もここで台詞がとぎれます)」という意味不明の受け応えにつながります。
ここは、わにが歯医者をどう思っているのかを知る、物語のポイントなのに読み手を混乱させると思います。
絵本から読み物への移行期にはもっとすっきりとした、わかりやすいお話がよいのではないでしょうか。