おとなしい少年ウルフも、正常な子供らしく女性に関心を持ち始める頃となりました。
そんなウルフが転校生のパーシーの破天荒ぶりのトリコになってしまいました。
難に着けても過激なパーシーにあこがれを持つウルフ。
その原動力は痛んで汚れたパーシーの魔法の靴。
ウルフはパーシーの魔法の靴と交換するために、あれこれと自分の宝物や兄貴の秘密の宝物を提供します。
パーシーはパーシーで思い切りの悪がきかと思ったら刺繍が好きで、親父の誕生日のプレゼントを考えているナイーブな心も持っている男の子。
ウルフがパーシーの魔法の靴を手にしてからの豹変ぶりがスゴイ。
別人になってしまいました。
冒険、初恋、異性への興味、思春期を迎える年頃の子には通り道だと思うけれど、この物語はかなり過激で刺激的。
眉をひそめる母親もいるかと思いつつ、やっぱり少年よ頑張れと思ってしまう物語です。
破天荒で、思い切りやんちゃで刺激的で、飛びぬけて笑えるのですが、ペーソスはたっぷり。
良い子のはずのウルフが、しでかす事件を知った母親は、ウルフを連れて映画館に。
喜劇を見ながら映画を見るでもなく、涙を流しているシーンは、子どもを信じる母親の表現として秀逸。
魔法の靴を、自らつけた火事の炎の中に投げ込んだウルフに、“自分のためにここまでやってくれた友だちはいない”と語るパーシーの純真な心は、ウルフの中にある性善説の昇華的表現。
こんな本が、児童書としてあるのも良いのではないでしょうか。