原題は“The Giving Tree”
タイトル通り、一本のリンゴの木が、一人の少年の幸せを願い、自分に与えうる全てのものを与え続ける姿を描いた一冊。
木は、子を想う母のようでもあり、恋人を一途に想い続ける女性のようでもあり…
読み手によって様々な解釈ができる深い作品です。
相手からの見返りを期待することなく、ただ相手の幸せのみを願う。
最後の、『きは それで うれしかった。』の一言には心を打たれます。
年老いた少年は切り株に腰掛け、何を思うのだろう。
子供として、母親として、日頃の自分を振り返る良いきっかけにもなる一冊です。
近年、村上春樹さんの新訳が刊行され、注目を集めていましたが、本田錦一郎さんの訳に比べると、少々硬い印象を受けました。
個人的には、やわらかく、リズム感のある本田さん訳のほうがオススメです。