「ルリユールおじさん」のソフィーが「大きな木のような人」に植物学者で再登場した時の嬉しさにも増す、さえらとの再会でした。
「大きな木のような人」の木の先生とさえらの往復書簡から始まり、秋にはさえらの町を先生が訪ねる事がわかります。
植物学者として、世界の砂漠化に歯止めをかけるべく精力的に活動している先生の言葉から考えさせられる事も多かった。
作品中のさえらと先生の再会を一緒に喜びました。
さえらの町は、秋祭りの準備のさなか。
“鹿沼秋祭り”のようです。
その歴史は古く、慶長13年夏、日照りが続き氏子たちの三日に渡る雨乞いの結果恵みを得た事へのお礼として始まったものだそうです。
寛政年間に入り、躍り屋台そして現在のあの見事な彫刻屋台へと変化を遂げたそうです。
いせ先生の素晴らしい色彩と描写の絵に引き込まれ、鹿沼秋祭りの屋台の繰り込み・繰り出しもさえらと共に楽しみました。
龍が舞い 鳥が翔ぶ 灯が踊る
森羅万象に神が宿る
という素敵な文や、太鼓の音色・お囃子の賑やかさからも祭りの熱気が伝わって来ます。
天日も雨も植物も、全ては神からいただいている恵み。
それを深く感謝し確認できる作品でした。
いせ先生のライフワークともいえる“植物(今回は日本の樹木)の力を尊ぶ”この作品も私の書棚に入れます。
前作までいせ先生の用いられて来たあの“ブルー”は、日本の“藍”だったんだと、お祭りのはっぴを見て確信しました。