自分で作ったはずのカミイというイタズラ者に振り回された挙句、主人公である男の子と女の子は、彼らの幼稚園からロボットの国へとママや家族とともに帰ってゆくカミイに、淋しいさよならをする、という話です。
カミイの性格付けは「わがままだけども憎めない」「はじめはいい気味だと思っていても、困っていると放っておけない」というぎりぎりの塩梅が保たれており、主人公二人にとっては庇護するべき存在として描かれているようにも感じられます。二人が作ったロボットが二人をはじめとする園児の中で学び、そして二人の下を去ってゆくという筋立ては、彼らが「大人」のシュミレーションを行っていると読むことができます。物語の結末で、カミイの本当の母親が現れるのは、カミイが一人ぼっちではかわいそうだから、という理由だけではないような気がします。物語の終わりは、二人の真剣で貴重な経験としての「ままごと」の終わりをも、意味しなければなかったからではないでしょうか。
子供のみならず、同時にそれを読んで聞かせるがわの大人にもぜひ読んで欲しい絵本だと思います。