いたずらばかりでとうとうお母さんに「どこへでもいきなさい!」といわれてしまったブウとトンとヤン。まず、このお母さんブタのリアルな怒り具合がいいですね。絵本の中に出てくるお母さんって、たいてい「どうしてそんなことをされて怒らずにいられるの?」と言いたくなるくらい、出来たお母さんが多いので、ちょっと、普段の自分と比べて肩身が狭くなる時があるんです。その点、このお母さんは等身大でマルです。
さて、家出をしたブタくんたち。まず、うさぎさんのおうちの子になろうとしますが、にんじんずくめの食卓に音を上げ、続くわにさんのおうちでは余りの赤ちゃん扱いに逃げ出し、からすさんの家では、子守が大変でやはり出て行ってしまいます。そして、三人でテントのおうちをこしらえてそこに住むことにするのですが、実はその家、もとのブタくんたちの家の本当にご近所なのが、表紙の裏にある地図からわかります。そこがなんとも子供らしく、かわいいです。
最後は自分の家が一番!というラストもお決まりではあるのですが、安心感があってとてもいいですね。
絵もかわいく細かいところにまで遊び心満載です。家出するときの意気揚々とした表情とか、退屈したときのつまらなそうな顔など、とてもよく描かれているなぁと思います。文章もそうなのですが、ブタ君たちの感情表現がとても素直に、ストレートに表されているのです。
我が家の娘たちもブタ君たちに共感するのでしょうか(?)
一押しの絵本のようです。