原題は『A CHAIR FOR MY MOTHER』。
『かあさんのいす』という訳出ですが、
「FOR」にはもっと想いが込められているような気がします。
「わたし」の目を通しておはなしは進みます。
食堂で働くお母さんは帰宅すると小銭をビンに貯金するのです。
おばあちゃんも特売の時に入れます。
貯金の理由は、大きいいすを買うこと。
なんと前年に火事で焼け出されたからなのです。
でも、無一文から、ご近所の親切に支えられて、
わたし・かあさん・おばあちゃんの3人は明るく生きているのです。
やっと手に入れたいすの素敵なこと。
なにより、家族の温かさ、周りの人々の気配りが、豊かな色彩で描かれます。
続編の『ほんとにほんとにほしいもの』『うたいましょう おどりましょう』もおすすめです。
ほっこりした読後感ですよ。