アンパンマンで有名なやなせたかしさんの、30年ほど前の作品。
アニメ映画にもなっていたようで、題名やストーリーも大体知っていたのですが、
絵本として読むのは初めてだと思います。
愛くるしい子羊のチリンは、狼のウォーに襲撃され、
自分をかばった母親を亡くします。
チリンは母の仇を討とうと、本心を隠して、ウォーに弟子入りし、
強くたくましくなるのですが・・・。
あどけないチリンの成長振りは見違えるほどですが、
そのけだものの姿が切ないです。
見事本望を成し遂げたチリンの心情は大いに共感できると思います。
チリンとウォーの微妙な関係も、運命の皮肉さを感じさせます。
復讐心の強さをあらためて感じると共に、
復讐したところで癒されない心の傷というものも実感します。
裁判員制度が実施され、裁判が身近に感じられる昨今、
改めて「罪の重さ」を考えてしまいました。
ラストは非常に重い余韻です。
死についても深く考えさせられる作品だと思います。