波を生き物としてとらえ、家に連れて帰るという発想って、凄いと思います。
それだけで、この絵本に心を鷲掴みされてしまいました。
波が家にやってきての騒動が描かれているのですが、嵐になったりシャワーになったり、しまいには海の怪物たちまで登場させてしまいます。
そして、人間の知恵で何とか海に戻します。
何といっても、この絵の躍動感。
人間の表情とか波の動きが、飛び出す絵本のように正に飛び出してきそうな位の描き方です。
どの頁も、それだけで絵として飾っておきたくらいの素晴らしさで、絵だけをみるだけでも一見の価値は十分にあります。
そして、ストーリーも、誰にも思いも着かない物語で、正に絵本の楽しさを満喫できる一冊でした。
大人から子供に至るまでオススメできます。
絵が楽しいので、年少さんでも十分に惹きつけられると思います。
また、このお話は、メキシコの詩人・評論家のオクタビオ・パスの短編小説「波と暮らして」を元にしているそうです。
パスは、20世紀を代表する世界的な詩人で、1990年にノーベル文学賞を受賞しているので、そんなエピソードも考えると、楽しくない訳がないはずです。
最後に雲の頁で終了しているので、次回作が出版されたら直ぐ読みたいものです。