そろそろ「ものがたり」を集中して聞けるかな?と思うようになった頃、娘に初めて読んだ「長いおはなし」が、「ぐりとぐら」でした。娘は当時2歳半。食い入るように絵本を見つめ、おはなしに聞き入っていました。来る日も来る日も飽きることなく、何百回この本を読んであげたことか。娘も、他のたくさんのこどもたちと同じく、ママが作った♪ぼくらのなまえは ぐりとぐら・・・♪の歌が大好き。行進曲風に、とびっきり元気よく歌います。カステラは、私の住む地域では手に入りにくいお菓子なので、娘にも馴染みのある「ホットケーキ」に替えて読みましたが、そのカステラを森の動物たちと分け合って食べるシーンが最も好きな娘は、みんなに分ける前に、大きなお鍋から直接ぱくぱくと1人で食べてしまう日もなれば、次のページまで待って、1匹1匹の動物から「ください!」と言っては、ひと口ずつ分けてもらい、味わいながら食べる日もあります。そのときの、うっとりした、とろけそうな娘の笑顔を、私は一生忘れることはないだろうと思います。
最後の字のないページでは、ぐりとぐらが卵の殻で作った車に乗っているのを真似て、自分もまた本にまたがり、「プップー!みんな、たのしかったね!またくるからね!」と動物たちに手を振りながら、走り去っていきます。他にも、どんぐりを拾い集めるページでは、引出しの中から小さなかごいっぱいのどんぐりを出してきて、部屋中にばら撒き、それを1粒1粒拾ってはかごに入れたりするので、このおはなしは、本当に延々と続きます!
娘は将来、どんなことを思い出すのでしょう? 「こんなにしあわせな、あったかい時間が流れていたんだよ」ということを感覚的にでいい、どこか心の奥にでも残しておいてくれたなら、、ママはそれ以上にしあわせなことはありません。娘が生まれてきてくれたお陰で出会えた素晴らしい絵本の数々、そして何にも代えられないかけがえのない時間。「ぐりとぐら」は、私の心の中での「ファースト ブック」です。