戦争から自分の娘を守るために森の奥にかくまった母親。
娘は3日間聖ヨセフに身を守られた後に家に戻ったら、30年の月日が流れていたというお話。
夫を失い、子どもを次々と失って一人だけ残った娘を思う母親の悲哀が切ないお話。
ですが、話の主人公は娘のミリーの不思議な体験。
守護神に守られ、聖ヨセフに守られた逃亡生活。
センダックは絵の中に様々なものを取り込んで、ストーリー以上に深みと不思議さのある絵本になっています。
森の中で座り込んだミリーの向こうを通りすぎていく人々はいったい誰?
作品途中で子どもたちを前に横たわって指揮棒を振る音楽家はいったい誰?
景色の中に現われる守護神、建物、動物たち、木々の意味ありげな姿、神秘性のあるお話です。
ヴィルヘルム・グリムがミリーという少女に宛てた手紙に添えられていたというお話。
他のグリム童話とはかなり異質で、グリムのオリジナリティが溢れているのでしょうか。