むかし、のどかな村のはずれに、小さな女の子と母親がひっそりとくらしていました。ある日、村におそろしいいくさがやってきたため、母親は森のおくふかく、女の子を逃がすことにしたのです。「3日たったら、もどっておいで…」女の子は森の中で不思議なことにであいます―。1816年、ヴィルヘルム・グリムが、ミリーという少女にあてた手紙のあとに、このお話が書かれていました。まさに150年ぶりに発見されたグリム童話に、くずれた絵本作家、モーリス・センダックが5年がかりで絵をつけたのが、この本です。
訳者 神宮輝夫さんのあとがきより。
この物語は、1816年に、ヴィルヘルム・グリムさんが、母をなくしたミリーという少女にあてた手紙にそえられていた物語だそうです。
戦争に代表される人間の悪と、母と子の愛と無垢な善を対比してえがき、永遠の生としての死を語った作品です。
子を想う母の気持ちと母を恋しく想う子の気持ちに心が温まると言うよりも、切ない気持ちにさえなってしまった作品でございました。