ビネッテ・シュレーダーさんの原画展を見に行きました。一枚一枚の絵が、完成した絵画のようで素晴らしかったです。色がたいへん美しく、細部まで丁寧に描かれていて、さらにシュールレアリズムの影響を感じる不思議な雰囲気が漂っていました。その中でも印象に残ったのが、わにくんが店員のソフィーさんを飲み込んでいる絵。
小耳にはさんだ「わにのみせ」を、自分たちのための店と思い、はるばるナイル川のほとりからパリまでやってきたのに、その店は実は、仲間の皮を剥いで作ったカバンや靴を売っている店だと知った時の、わにくんの驚き、悲しみ、失望は推して知るべしです。暴挙にでた彼を一方的に責めることはできません。そりゃ、怒ります。
でも、「この絵本を子どもに読んでいいのかな?」と、素朴に疑問を持ちました。少なくとも、ブラック ユーモアが分かる年頃からだと思います。ソフィーさんを飲み込み、彼女の持ち物をごっそり頂いたわにくんは、「・・これで きも はればれ。やましい おもいは さらになく・・」なんですから・・。
「おとなのためのおはなし会で、ワインでも飲みながら読んだら面白いかも?」とは夫の意見。私もそれに一票いれようかな。
「スイスの最も美しい本賞」、ライプツィヒ図書展の「世界で最も美しい本賞」を受賞しているそうです。子どもに読む、読まないは別にして、「一読の価値あり」の絵本だと思います。