ある日、村中に怖いと伝えられ続けてきた「りゅう」に会いにいったこどもが知った「りゅう」の怖くなった理由は今ここにもある理由でした。
今まで「こわい」と教えられてきた「りゅう」が怖くなるのは、みんなが怖いと思い込んでいたから。そして「りゅう」もみんなの怖いに付き合うことで誰からも話しかけられなくなります。
心を開いてくれたこどもに向って「りゅう」が流す大粒の涙は川になって流れ出します。
絵本は、モチーフが絵になっているから人やしつけを例にしやすいのだけど、まず自分を見直してほしくなります。
例えば、汚い部屋と向かい合うこと。
例えば、注意の仕方。
例えば、気に入らない上司。
絵本を子どもと一緒に読んだ後、自分の一週間を振り返れますか?
この一週間でやってきた心無いことや、言い訳を心に思い出すことができたなら。
そして、それについて反省できるなら、多分次の一週間も良くなるという気がします。
そんな絵本です。
実はこの本を私は銀行の待ち時間で読んだのですが、今、自分の部屋にいるというのに、本の散らばる床を見ることができないでいます。
川になった「りゅう」の涙をさけて木に登るこどもを描いたいわさきちひろさんの絵がタッチがとても魅力的です。とても遠くの木に登っているはずなのに、今にも「りゅう」の背中に飛び乗りそう。