こういう作品を珠玉の一冊と言うのでしょう。
死とか別れに関する絵本は避けてきたのですが、光村図書の小学校1年生の教科書に掲載されていると聞いたので、読んでみました。
読んで大正解でした。
主人公の僕と犬との出会いから別れまでを綴った物語です。
前半は、赤ちゃんの時から犬と一緒に成長してきた記録が微笑ましいエピソードを交えて描かれています。
そして、犬は僕より早く成長し年老いてしますのですが、僕はしっかりと思いやりも持って面倒をみています。
でも、一番立派なのは、僕だけは自分の気持ちを犬に伝えていること。
だから、犬が死んだ時に悲しみの深さが、僕だけ他の家族と違ったのでしょう。
そのページの言葉は、心の琴線に触れました。
『兄さんや妹も、エリフィーが好きだった。
でも好きって言ってやらなかった。
僕だって、悲しくてたまらなかった。
けど、幾らか、気持ちが楽だった。
だって、毎晩エルフィーに、「ずーっと、大好きだよ」って言ってやっていたからね。』
日本では言わなくても分かるという阿吽の呼吸のようなことが言われています。
でも、言わなければ決して伝わらないことはあるはず。
思いは伝わらないこともあるのです。
改めて自らを振り返り、反省させられることしきりの絵本でした。
子供は勿論、大人にも是非読んで欲しい一冊です。