この「ビッグ・オーとの出会い」を、以前「ぼくを探しに」の続編として読んだ時に、とても違和感を持ったのですが、村上春樹さんの新訳を読んだ後に再読して合点がいきました。
二つの作品の主人公は別の個性なのです。
しかも「かけら」は、まるの破片なんかではなく、まるから飛び出した、もしくは産み出されてまだ未熟な個体なのです。
倉橋さんの訳では、タイトルにあるように、「大きな丸」が、「ビッグ・オー」という特別の存在との出会いに重さを持たせましたが、「大きな丸」ならば、もっと身近な存在のようにも思えます。
印象がかなり異なる作品として、倉橋訳と村上訳の読み比べをお薦めします。