どちらかというと大人向けの絵本だと思います。私は学生時代に読んで大好きになり、大学の講義の、書評を書く課題でも取り上げたくらいですが、小学生でも低学年ではまだ難しいと思います。
天動説から、地動説へ変わる歴史を題材にした絵本ですが、よーく絵を見てみると、安野さんらしい「しかけ」がしてあります。平面だった地平線がいつの間にか丸くなり、最初は地球に腰掛けて、ひもがついた太陽を持っていた天使が、最後には逆に、太陽に座って、ひものついた地球を持つようになります。「あれっ、いつの間に?」と、もう一度最初から読み直したくなってしまいます。
そして、「地球はまるい」と信じて海に漕ぎ出した人々を待つ人たちの、「かみさま!」という祈りが、何より心に響きます。天動説が地動説になっても、時代が変わっても、そういうものは変わりませんよね。