私自身は残念ながら子供が授かりにくい体質で、運良くひとりは産むことができたのですが、きっときょうだいは産んであげられないだろうなと思っています。でも、もしももうひとり赤ちゃんを産むことができたら...。悲しい気持ちでではなく、いつかそんな日がきてくれればいいなと心からあたたかい気持ちで思わせてくれた絵本です。
おねえちゃん・おにいちゃんになると、お父さんお母さんの用事が増えてどうしても赤ちゃんのほうがかまってもらっているなと感じてしまう、そんなさみしさを感じているお子さんもたくさんいらっしゃるでしょうし、さみしくさせているなと心を痛めてらっしゃる親御さんもまた、同じだけおられるのではと思います。
ときおり嫉妬したり不安定になったりやたらと甘えたりするフランシス。でも、おねえさんとしてしっかりしていたい、がんばりたいという思いはうそではありません。そんなフランシスの揺れている気持ちを、常にフラットな気持ちと愛情でうけとめるお父さんとお母さんの姿勢に、はっと胸をつかれます。かつて子供だったころの自分の心にも、今母となった自分の姿にも、忘れてはいけない大事な何かを伝えてくれるような気がします。
家出をするわ、とテーブルの下にはいっていくフランシスの、かまってほしいとかさみしさをわかってほしいとかいう無言のアピールにもなんだか涙がでそうになるし、そういうフランシスのことをわざとらしくかまったりしないで『がんばってくれているね、お父さんもお母さんもそのことにちゃんと気づいているよ』とこんなにも的確に、愛情豊かに伝えられるフランシスの両親の姿にも目頭があつくなります。
私もフランシスの両親の子供になりたいな、フランシスのお母さんみたいになれたらな、と、本当に思いました。