優しい言葉と可愛い絵からなる『おかあさんになるってどんなこと』は、幼い子どもに読んであげるのにぴったりの絵本です。そして、お母さんやこれからお母さんになる人にもぜひ、読んでほしい絵本です。
親から子への暴力、或いは無関心によって子どもが犠牲になる痛ましい事件の報道をよく聞きます。でも、ここに描かれていることが、すべての親子の間にごく自然にあれば、悲しい事件はなくなるはず・・・。子育てに難しい教育論はいりません。お金も、ある程度は必要でしょうが、贅沢するほどにはいりません。ただ、名前を呼んで、手をつないで、心配して、ぎゅっと抱きしめて・・・。作者の内田麟太郎さんは、実母を早く亡くされ、継母との関係にとても苦しまれたそうです。その心の傷は大人になっても癒えることはありませんでした。(エッセイ集『絵本があってよかったな』架空社を読んで知りました。)
内田麟太郎さんの「母から子への愛情」というものへの想いの深さが、中村悦子さんの柔らかい絵にくるまれて、そーっと差し出されたように感じた絵本です。どの子もみーんな、愛されて育ちますように!