右開きの縦書きで、いかにもいかにも日本の昔話という感じ。
貧しいながらも懸命に母親を看病する孝行息子の姿に、きっと神様も施しをと心動いたのでしょう。
一本歯の妙な下駄。
転ぶとその数だけ小判が出てくるんです。
でも、その度に背が少しずつ縮んでしまうという、人の欲望へのブレーキ付きの下駄。
さっそく家へ帰った息子が、たった一度だけ使って、下駄をしまいせっせと働いたというところで、驚きました。、
私なら、5・6度いえいえ10度は転んで小判を手に入れ、少し贅沢をして働くことを休んでしまいそう。
読んでいて恥ずかしくなりました。
この孝行息子と対照的な、親戚の欲張りごんぞうおじ。
予想以上に欲張って、その顛末に口がアングリでした。
さて、この後始末をした主人公の息子と母親はというと、終盤の相も変わらぬぼろ家の前で畑仕事をしている姿に「恐れ入りました」と重ねて感心しました。
“足るを知る”は、難しいですね。
長先生の『きっとこんな風景があったに違いない』と思わせられてしまう絵が素敵でした。