2011年3月20日初版の絵本。
この日に大きな意味があります。
なぜなら東日本大震災が起きたのが、3月11日だからです。
物語は、青森に住む主人公のはるかが、春休みにパパと一緒に鹿児島に住む祖父・祖母を訪ねる設定です。
その交通手段が新幹線。
はやぶさ、のぞみ、さくらを乗り継いで行くというものですが、鉄道マニアでもなければ、本来は、飛行機でしょうが、その設定が絵本ならではの素晴らしいところです。
この絵本は、その道すがらを大きく俯瞰して描いています。
かなりデフォルメされた日本なのですが、日本が如何に平地が少ない国なのか、改めて知ることになりました。
そして、その土地の町並みとか、建物、旧跡なども、実に分かり易く描かれています。
日本地図の学習も、こんな風だったらきっと、好きになるに違いないと思える位の出来栄えだと思います。
しかし、この絵本が貴重なのは、東日本大震災直前の日本を描いているということに尽きると思います。
岩手から宮城に続くリアス式海岸、日本三景の松島、相馬市、いわき市等、その姿は、津波によって変貌してしまっており、そのことを想うと真摯な気持ちにならざるを得ません。
勿論、作品としても1級品ですが、それ以上に東日本大震災の直前の日本を見ることができる作品として、多くの方に見て欲しいと思います。