六年生のぼくは、三・四年生まで大介と仲がよかったのですが、大介が「うそつき大ちゃん」と呼ばれるようになった頃から疎遠になります。
ぼくの方が意識的に大介といることをみんなに知られたくないだけで、大介の方は一向に気にもしていない様子です。
学校での立ち位置というのか、自分がどんな風に見られているのかを意識する時期、友だち関係も微妙に変化していくものなのかもしれません。
こういう問題は、女の子の方が痛切に感じる問題と思っていたのですが、今の時代男の子も同じように感じているのでしょうか。
阿部夏丸さんの作品には、アウトドア系のお話が多く、このお話の中にも川遊びの楽しさがたっぷりと含まれています。
単に学校の中だけの関係でなく、遊びの中で子どもたちの関係が保たれていた時代には、
子どもの同士の関係も近かったのかもしれません。
読んでいて感じたのは、大介は昭和によくいた子どもの姿で、ぼく(健太)、敬一、夏葉は自分の本当の気持ちを惜し隠した現代的な子どものように思います。
ただ、その現代的な子どもの顔の下にも大介のように子どもらしく無邪気に正直にふるまいたい、等身大でいたいという本当の気持ちが隠されているような気がしてなりませんでした。
舞台が愛知県豊田市ということで、愛知に住む私たち親子にとってはとても身近なお話でもあり、小学生のお話ということで息子と一緒に楽しめました。