インクペンと淡い水彩の感じが昭和っぽい古さを醸し出して見えましたが、2002年と意外と新しいのに驚きです。作者が同い年とわかってさらに親近感も湧きました。以前「いってかえって星から星へ」を読みましたが、同じ田中清代さんの絵とは言われても判らないくらい作風が違って見えます。手に取った時のトマトさんのドアップにもビックリですが、僕は虹色に光る“とかげ”の浮き輪が、薄暗い寝室のふとんの中にあって強烈なインパクトで迫って来たのにビックリしました。他の作品にも“とかげ”が登場するのがあるようで、“とかげ”に対して特別の思い入れがあるのかも知れませんね。なかなか主役を張ることがない“とかげ”ですので、直ぐに降矢ななさんの「ちょろりんととっけー」を連想しました。最近知ったんですが、よく見かける“とかげ”と呼んでいる茶色い奴は、正確には“カナヘビ”といって、“ちょろりん”のような青光りした奴が“ニホントカゲ”というらしいです。この絵本のはどちらか判らないですが…。
おっともちろん主役のトマトさんも良いんですよ、顔の表情だったり“ごろん…ごろごろ”とか“どっぷん”という臨場感あふれる音の表現も読み所ですね。息子はというと、トマトさんを心配して集まるいろんな種類の虫たちに興味津々で、バッタやてんとう虫の数を数えたり楽しそうでした。季節は違っても十分楽しめる作品です。