誰もが知っている『つるのおんがえし』、『鶴女房』ですが、このお話にはかなり違った印象を受けました。
美男美女の話ではないから?
鶴が気高さではなく、もっと身近に感じられるから?
そんな一面を感じつつ、石倉さん描く「あねさ」に思わず心許せてしまう可愛さ、大川さんが語る地方色たっぷりと入った人情味の世界にのめりこんでしまいました。
初めて手に取る方は、『つるのおんがえし』とはかなり違う雰囲気をどのようにとらえるでしょうか。
田いちまい、畑いちまいなく、雇われ働きで生活している「あにさ」のところに現れた「あねさ」。
従順で、あにさ思いで…、しっかりと自分を持っているあねさ。
このシチュエーションに私は弱いのですが。
恩返しにはたおりするのは同じ、覗いてはいけないと言われたのに誘惑に負けてしまうのも同じですが、言葉遣いが日本の昔話として大切なものを伝えてくれる作品として受け止めました。
あらすじを述べただけでは、この感覚を伝えるのは難しく…、先ずは手に取ってみることをお薦めします。