震災後、書店でも図書館でも原発に関する本がメインに展示されるようになりました。
今も尚、福島原発では収束の目途もない実情がよく反映されているのだと思います。
地震前、ずっと原子力が生み出す電気はクリーンで安全だと言われていました。
でも、今回の事故で広大な地域が汚染され、避難を余儀なくされた方もいて、また食の安全も脅かされて、決して安全ではないのです。
私は原発での職場環境についてもあまり知る機会もなく過ごしてきました。
最先端技術で安全だと言われている原発。そこで働くことは被爆を前提としています。
事故がおきた時に繰り返し言われた言葉「ただちに健康に影響はない」。
確かにそうなのかもしれませんが。命というものは、そんなに簡単に考えていいものなのでしょうか。
原発の中で働く人たちの現場や被爆した人たちへカメラを向けて取材されたこの本。
この本を読んでも、原発を推進したいという人がいるなら、私はその人はもうすでに人の心を持っていないのではないか?
そう思えるほどこの本の訴える現実は怖くてやるせないものでした。
自分の家族だけでなく、被爆で傷つく人が一人でもいてはいけないと思います。
この本が出たのは1991年。当時としては売れるとは思えない本を、こうしてジュニア向けに出版していた岩波書店は素晴しいと思います。