写真絵本です。私のお気に入りの1冊。
2005年に「こどものとも年中向き」1月号として発表されたものが、その後に「こどものとも絵本シリーズ」の1冊として再刊されました。
この絵本は、読めば分かる。見れば分かる。
理屈ぬきで楽しめる、とっても愛おしい絵本です。
物語は、表紙から始まって、裏表紙まで続きます。
主人公は無機質な針金なのに、頁をめくるにつれて
、感情移入をし始めて、見えるはずのない針金の表情が、徐々に見えてくる気がします。
裏表紙で、走り去っていく主人公の後姿と影は、ちょっぴり切ない。
続編として「ああ」という絵本が発行されていますが、こちらは残念なことに福音館書店の「こどものとも絵本シリーズ」のラインナップにはなく、現在は入手が困難です。
私も、まだ読んだ事がありません。
大槻さんは、1973年生まれ。
「わごむ」、「えくんとことばくん」、「けいとだま」などの絵本の著作がありますが、雑誌、広告、CDジャケット、装丁など幅広い分野で活動して、様々な立体作品や映像などの創作に取り組んでいる人です。
「わごむ」も、大好きな絵本の1つです、
以前の私は、写真絵本は好きではありませんでしたが、友人からもらったある写真絵本をきっかけにして、今では、幾つかのお気に入りの写真絵本があります。
「あ」は、その中でも最高に好きな写真絵本です。
絵では表現できない物語があることをシンプルに示した絵本で、とても革命的。
この絵本には、時代を超えて愛される価値があると思います。
「長生きの絵本にハズレなし」との金言がありますよね。
私が好きな絵本も、長寿の絵本が多いです。
しかし、15歳という若い「あ」も、まったく侮れません。
写真絵本の可能性を広げる作品です。