『おんぶはこりごり』で「この作者、イカすなぁ!」と心に残ったのですが、この作品で底力を見たというか、本当にすごいなぁ!と感心しました。
いきなりお父さんが帰ってこないで寂しい。お母さんは呆けている。寂しいからあちこちに帰ってきてと書いた紙を貼りまくる男の子。
話だけでショッキングなのに、おつかいで森へというのも違和感だし、いきなりのモノクロに私たちもスッと別世界。
すごい!絵と文だけで。
隠し絵があると知らなかったけれど、とにかく木の形が変。
なんでだろうとよく見ていると……です。『もりのかくれんぼう』を連想したでしょうか。
娘もすぐ夢中に。朝の忙しい時間まで取り出して絵探しするほど。
それでも親子合わせて全部探しきれていないように思います。
そしてラストの輝かんばかりのお母さんに、あぁアンソニー・ブラウンだなぁとクスッ。
娘は読後、あんなに必死で探し聞いていたにも関らず、一人で動けなくなり、楽しい気分になる別の本をリクエスト。
このどこか空恐ろしい森は、童話やファンタジーのもつ本来の姿ではないでしょうか。とにかく秀逸作品です。