絵本『おおきな木』や『ぼくを探しに』など
シェル・シルヴァスタイン(1930〜1999)の作品は
子どもだけでなく大人に広く読まれています。
シンプルな線ですが、シンプルゆえに多くのイマジネーションがわいてくるそんな作風が、
人気のもとなのではないでしょうか。
この『めっけもののサイ』も、まるで一筆書きのように
自由に線が躍動して、サイの魅力をいっぱい表現しています。
原題は「Who Wants a Cheap Rhinoceros?」。
「誰か安いサイいる?」ぐらいの意味だろうか。
それを「めっけもののサイ」という日本語訳をつけた、
訳者の詩人長田弘の言葉のセンスに脱帽します。
で、「めっけもの」という言葉、あまり耳にする機会は少ないかもしれませんが、
「掘り出し物」とか「思いがけない幸運」という意味があって、
この絵本の場合、後者の意味もあるように思えます。
だって、あの大きなサイを自分のものにできるのですから、
これは幸運というしかないでしょう。
この絵本にはサイの活用方法(?)がたくさん描かれていますが、
一番気に入ったのが「おばあちゃんのドーナツづくりのお手伝い」。
あのりっぱなツノにおばあちゃんがこしらえた生地を差し込むだけで
ドーナツのできあがり。
ちょうど、輪投げみたいに。
絵本を読み終わったら、どんなサイの活用方法があるか、
みんなで考えてみるのも、きっと楽しいだろう。