震災の後、自分に何ができるのかを考えた方は多かったと思います。ある思いは募金へ、ある思いへは被災地に絵本を送るという行動へと向かいました。
10か月経った今、私もそのことを考え続けています。最近、仙台空港に行くことがありました。
仙台空港は震災後の早い時期に復興しましたが、空港の周辺は瓦礫は片付けられたものの枯れた草が生い茂る空き地が広がっていました。
そこには、震災前は当然家や店があったのだろうと思います。一階が津波でやられて二階だけが残っている家。少し行くと住宅街の中に仮設住宅があり、同じ市内の中でも被害が違うということを物語っているような光景。すべてを見たわけてはないのですが、胸がつまる思いでした。
この絵本は、震災後に荒井良二さんがやはり自分にできることを探されての作品ということです。
この作品の前に、長田弘さんと荒井良二さんの『空の絵本』を読みました。そこには、震災後も変わらずにある空の移り変わりがありました。
どんな時にも明けない朝はないと言います。それでも今回の震災は原発事故もあり、そのために復興が遅れているという事情もあります。
そして、東北出身の荒井さんの絵本をもう一度読み返してみると、果たして私は震災後に東北の街や人々の気持ちに思いを馳せたものの、本当にわかっていたとは言えなかったということがわかりました。
朝の光は私たちに希望と勇気を与えてくれます。『空の絵本』と同じくこの絵本の絵もとてもきれいで、心にすっと入ってきます。
私にできることの一つは、こうしてこのような思いを持った一冊を人に紹介していくことだと思いました。