冬の運河をスケートで滑るで思い出したのは、『楽しいスケート遠足』で、よく見たら訳者が同じでした。
ただこちらは内容的に緊迫感があり、『楽しいスケート遠足』とは趣が異なります。
第二次世界大戦下、オランダの国はドイツの占領下、10歳の少年・ピートが二人の子どもたちを連れて国境越えの任務を任されるのです。
10歳というとちょうどうちの息子と同じということで、息子もこの話の成り行きをとても知りたがりました。
占領下という非常時と重い任務の中でピートの心を支えたのは、200キロという距離を走りとおしたピム・ムリエルのことと、ピムが立ち上げた国民的行事「エルフステードントホト」のこと。
非常時にその国の人々の心を支えるものは民族の誇りと優れた先人のことであるのだとこの絵本を通じて感じました。
読み聞かせすると20分ほど。ブックトークでもいいから、中学年以上の子どもたちに紹介できたらいいなあと思いました。
10歳の少年が懸命に頑張る姿は、その年代に近い子どもたちに勇気を与えるように思います。
それは子どもだけでなく大人もですが、久しぶりに読み応えのある絵本に出会った気がしました。