宮沢賢治のお話は、手の込んだ絵をつけた大きいサイズの本が多く出ていますが、この本は、その中でも群を抜く素晴らしさです。
組み木による挿絵が、このちょっと地味で、ざらつき感のある話にとてもよく合っているのです。
ただ、私はこの『よだかの星』というお話自体が、どうしても好きになれないのです。あまりにも悲しすぎて。
友人の4年生の娘さんも、「悲しいから朝読書では読まないで」と言ったそうです。
宮沢賢治のお話は、他の生き物を食べて生きる己を悔いて、身を滅ぼすという自己犠牲のものがいくつかありますが、これもその一つです。
よだかは、その存在そのものが既に悪なのでしょうか。それでは何のために生まれてきたのでしょうか。死ぬため?
美しいお話と言えばそうかもしれません。
宮沢賢治の傑作の一つと言えばそうかもしれません。
この絵本自体はとても素晴らしい出来なのですが、でも、やはり私自身が納得できないので、子どもに読むことも出来ませんでした。