怖い夢の中。
走っても走っても、全然前に進めず、追いかけてくる怖い「何か」に捕まりそうになる。
怖くて、怖くて、叫び声を上げたいのに、ふりしぼっても、ふりしぼっても声が出ない。
そういう、怖い夢が絵本になったような作品だと思いました。
真夜中。ぼくはともだちにさそわれて、ゆうれいのまちにいきます。そこでゆうれいたちにつかまって、ずっとくらして、おとなになって、再び現れたともだちのさそいにのって、いえをぬけだして、それから…。
言葉だけならば、明るい物語とも受け止めてしまいそうな恒川さんの文章と、大畑さんのベタリと不安になる絵が奏でる不協和音が、見事。不気味で不快な傑作だと思います。
傑作ですが…大人であっても、好みは分かれると思います。
小さな子どもには、おすすめしないです。悪夢は、目が覚めれば終わりますが、本から受けた印象は、ずっと心に残るので。